現代の披露宴2|結婚披露宴
結婚披露宴の式次第
招待客の着席客は入場したら、受付で渡される席次表に従って着席する。席次は、招待客の選定とともに、新郎新婦にとっての悩みとなる。この煩わしさがあるために、結婚披露宴を行わないこともある。
新郎新婦入場
全員が着席したら、新郎新婦が入場する。媒酌人(仲人)を立てた場合には媒酌人に伴われて、立てない場合には新郎新婦だけ、あるいは介添えを伴って入場する。この際、BGMとしてウェディング・マーチが流される。ウェディング・マーチとして、かつては「結婚行進曲」(メンデルスゾーン作曲、「夏の夜の夢」より)や「婚礼の合唱」(ワーグナー作曲、「ローエングリン」より)を用いることが多かったが、今では新郎新婦の好みの曲を用いることが多い。客は拍手で新郎新婦を迎える。
開宴の挨拶
新郎新婦が高砂(会場正面に設けられるメインテーブル)に着席し、会場が静まったら、司会者が簡単な自己紹介のあと、開宴の挨拶を述べる。
新郎新婦の紹介
媒酌人を立てた場合には、媒酌人が結婚式の無事終了を報告し、二人の略歴、家族、なれそめなどを紹介して、客に今後の支援と指導を願う。媒酌人を立てない場合には、司会者が行う。
主賓の祝辞
主賓が来賓を代表して祝辞を述べる。新郎側・新婦側から、それぞれ一人ずつ祝辞を述べることもある。新郎新婦は起立して挨拶を受けるが、主賓が挨拶の冒頭で着席を勧めることが多い。
乾杯
あらかじめ列席者のグラスに注がれたシャンパンをもち、一同起立する。乾杯の音頭は主賓の次席か年長者がとり、簡単な挨拶ののち「乾杯」と発声し、一同で「乾杯」と唱和する。グラスを空けたら即座にグラスを置き、拍手するのが日本でのマナーである。新郎がシャンパンの口を切り落とすサーベラージュも余興の一つになっている。 ウェディングケーキ入刀ウェディングケーキ
ウェディングケーキ(生ケーキ)新郎新婦が、ウェディングケーキに入刀する。この際、司会者は、「カメラをお持ちの方は前にお進みになって撮影してください」などと勧めるが、近年はカメラ付き携帯電話をもって大勢殺到することもあるので注意が必要となる。また、かつては司会者が「新郎新婦初めての共同作業です」などと言って盛り上げたが、できちゃった結婚が広まったためか、あまり言われなくなった。 このとき入刀されるウェディングケーキは、形だけの物が多かったが、現在では生ケーキを用いることも多く、華々しくケーキ入場を盛り上げたり、入刀後に厨房でカットして客に振る舞うことも多くなった。また、ファースト・バイトと呼ばれる、新郎新婦がお互いにケーキを食べさせ合うイベントも広まりつつある。
食事の開始とお色直し
まずイベントは一段落して、新郎新婦はお色直しのため一旦退場する。客は食事を始め、歓談を楽しむ。 お色直しは、室町時代に始まるとされる。当初は、結婚式当日、男女とも白装束を付けて潔斎し、式から3日後に前もって贈り合っていた色物に着替え、両親に対面した。これが江戸時代には式当日に行われるようになり、現在に至っている。本来の目的からすれば1回でよいが、現在は2回行うことが多い。白無垢から純白のウェディングドレス、カラードレスへと着替えることもあれば、純白のウェディングドレスから色打掛、カラードレスへ着替えることもある。新郎もこれに合わせて着替えるが、メインはここでも新婦である。
祝電の披露
お色直しのために新郎新婦が退出している間に、祝電が披露される。通信手段が発達したため、レタックスや電子メールでもメッセージは送れるものの、結婚披露宴のお祝いメッセージには相変わらず電報が多く用いられる。祝電には、押し花電報や刺繍電報、ぬいぐるみが付いたキャラクター電報や、本格的な美術小物が付いたうるし電報、七宝焼き電報など、様々な種類がある。
紹介される電報は、政治家や新郎新婦の職場の社長など、重要とされる人からのものや、オリジナルな文面のもの、新郎新婦と特に親しい人からのものが中心となる。
キャンドルサービス キャンドルリレー
新郎新婦がお色直しをして再入場する際、キャンドルサービスが行われることが多い。キャンドルサービスやキャンドルリレーの由来は4世紀半ばのキリスト教会で行なわれたキャンドルミサであり、キャンドルの光は「世の光」を表している。日本で最初に取り入れたのは、カメヤマローソクを使った東京の日本閣といわれる。結婚披露宴のキャンドルサービスは、各テーブルに置かれたキャンドルに新郎新婦が火を灯し、最後にメインテーブルや専用キャンドル台にセットされたウエディングキャンドルに火を灯すイベントである。友人達が自分達のテーブルにあるキャンドルの灯心にだけ水を含ませ、着火しないようにする悪戯がされる事もある。 近頃はキャンドルサービスに代わり、招待客も参加してキャンドルの灯火をリレーするスタイルのキャンドルリレーが行われることが多くなった。
来賓の祝辞
新郎新婦が着席したら、司会者は来賓に祝辞を求める。
結婚披露宴の祝辞では、忌み言葉と重ね言葉に気をつける。忌み言葉、重ね言葉ともに、衰亡や離婚・再婚をイメージさせる言葉のことで、結婚披露宴の祝辞では避けるべき言葉とされる。これは、言葉に霊的な力が宿ると考える言霊の思想によるものとされる。ここに一例を挙げる。
忌み言葉:切れる(切る)、離れる、帰る(帰す)、返す(返る)、別れる、戻る、去る、繰り返す、退く、嫌う、飽きる、出る(出す)、冷える、冷める、滅びる(亡ぶ)、病む、死ぬ、悩む、苦しむ、衰える、憂える、枯れる、破れる、敗れる、終わる、逝く、失う、追う、流れる、傷つく、倒れる、落ちる、疎む、また、再び、かつまた、なおまた、二度、再度、再三、再三再四など。
重ね言葉:重ね重ね、たびたび、またまた、返すがえす、重々、いよいよ、ますます、くれぐれ、いろいろ、しばしば、再々など。
新郎・新婦の名前に言及する際「新郎・○○君」「新婦・○○さん」と言う場合が多いが、「新郎・○○さん」「新婦・○○さん」と、両方さん付けにするのが現代の正しいマナー。これは、婚姻者は夫が年上で妻が年下である場合が多いことや、「さん」は年長者にも使えるが「君」は同輩か目下の人にしか使えないため、矛盾を感じさせるからである。
また、祝辞には定番も多い。「菊作り 菊見る時は 蔭の人」という吉川英治の俳句を季節構わず引用して花嫁の父の気持ちを慮ったり、「人生には大切にしなければならない三つの袋がある」として訓戒を垂れるなどである。なお、この「袋」には様々なバリエーションがあり、代表的なものとしては堪忍袋、給料袋、お袋、知恵袋、胃袋、池袋、沼袋、紙袋、ビニール袋、エチケット袋、手袋、足袋、有袋類、コアラ、カンガルーなどがある。